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Posted on 2013-05-15
A Terrible Story in NY 第3話(ブラックベイビー )

 私がニューヨーク(NY)で住んでいた36-37年前、日本人の間で良く話題になったThree Terrible Stories in NYがあります。いずれも、日本では考えられないお話です。その内の第1話(ケアレスミスの悲劇)第2話(悪魔のベビーシッター)は、既にこのHPのブログに紹介しました。今回は、第3話(ブラックベイビー )を紹介しましょう。

第3話(ブラックベイビー)

 日本人の話です。NYではアパートの部屋の鍵は複数付けていることが多いのです。もちろん、治安が良くないからです。私が留学で2年間住んでいたのは職場(スローン・ケタリング癌研究所)の職員用のアパートで、場所はNYの真ん中、マンハッタンのヨーク・アヴェニュー 81丁目でした。住み出して3か月位経ったころ、現地の職場仲間(アメリカ人)が「君のアパートの部屋は鍵がいくつ付いてるの?」と私に訊きました。「一つ」と答えると彼は「それじゃぁダメ!毎日安心して過ごすには、少なくとも2つは要るよ」と言いました。彼は「NYは恐ろしい所なので、他人を信じてはダメ!」とアドバイスしてくれました。更に、デリバリーなどで見ず知らずの他人がアパートに来た場合は、何があっても(他人を)部屋に入れてはならないので、1)決してドアを開け放してはいけない、2)ドアチェーンをかけたまま、品物と受け取りのやりとりを完了させるべき、3)品物が大きくてドアチェーンをかけたままでは受け取れない場合は、「荷物はそこ(廊下)に置いて帰ってくれ」と告げ、しばらく待って相手が消えたことを確認してから、ドアを開け、荷物を取るべきである、と話してくれました。そこで私は鍵屋に行ってもう一つの鍵を付けてもらいました。ここにお話しするのは、そんなNYの恐ろしさを知らなかった日本人新婚夫婦の話です。

 この夫婦は、亭主が会社からの赴任命令を受け、NYに来ました。赴任してまだ日の浅い頃の話です。亭主が会社にいる間、奥さんは一人で部屋にいました。そこへデリバリーの若い黒人の大男が来て何かを運んで来ました。奥さんは治安の悪さを知らなかったのでしょう、無防備にドアを開け、男が荷物を担いで部屋に入ってきました。そして、そこで奥さんがレイプされたのです。

 前述の私の親友ラリーにここまで話すと、直ぐに彼は言いました。「おいハジメ!そんなことを驚いているようではNYに住めないよ。このNYではそんなことは日常茶飯事。ここではどんな酷いことも簡単に起こりうる」と。私はそれには反論せず(以下のように)更に話を続けました。

 実は、この奥さんの悲劇はこれでは済まなかったのです。9ヶ月後、彼女は真っ黒の赤ん坊を産んだのです。私は初めてこの話を聞いたとき、この部分で背中に冷たいものが走りました。ラリーは、私の“Black baby”の言葉を聞くと同時に真顔になり、“Terrible!” と叫びました。彼は、白人(ユダヤ人)ですが、職場では、掃除に来たり、荷物を運んでくる黒人やプエルトリコ人にも親切で愛想よく、人種差別意識は全く表現しません。その彼が Black baby の言葉で直ぐに Terrible! と反応しました。私は彼の(日頃は隠している)心底の意識を見たという感じがしました。この話、その後この夫婦に何が起こったのか、私は知りません。が、彼らの悩みの深さと長さ(期間)はいかばかりか・・想像するだけでも苦しくなります。


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